被害者が填補金を請求できる場合
法は、七二条で「政府は、自動車の運行によって生命又は身体を害された者がいる場合において、その自動車の保有者が明らかでないため被害者が第三条の規定による損害賠償の請求をすることができないときは、責任保険の被保険者でない者が、第三条の規定によって損害賠償の責に任ずる場合も、被害者の請求により、政令で定める金額の限度において、その受けた損害をてん袖する。と規定してます。
これを具体的に例示すると、ひき逃げされたとき、無保険車により傷害を受けたとき、強制保険に加入している車であるが他人が無断で持ち出し、運行中に、その車により傷害を受けたとき、に該当する被害者に対し、政府が加害者に
代わって保障する目的で設けられた制度です。したがって、保険と異なり保障という点より保険金請求とはいわず填補金の請求となるのです。
法は、ひき逃げした指示後日判明したときならびに、無保険車で事故を起こした者に対して、政府は、被害者に対し支払いした 填補金の制度において、被害者に代わって加害者に請求を行なうことができる。
過怠金として政令で定められた金額を徴集することができるとの二点を定めています。
ひき逃げされたときは、相手方が不明なわけですから、さっそく、政府に填補金の請求を行なうことができます。しかしながら、無保険車ならびに無断使用車により傷害を受けたときは、いちおう相手方に対し、損害賠償請求を行なうべきです。
その結果、相手方と話合いがついたとき(通常示談成立)は、政府に対する填補金の請求は行なえなくなりますが、相手方に賠償能力のない場合とか、なかなか話合いに応じてくれない場合とか、または話合いには応じてくれるが誠意がなく、とても話がまとまらないとかの場合には、政府に対して、填補金の請求を行なえます。
保障事業の請求受付けは、省令にもとづく委託契約を政府と締結した損害保険会社のみしかできません。
保険関係の請求は、加害者が契約している保険会社に対してのみしか請求を行なうことができませんが、保障事業の請求は、前記の委託契約を締結した保険会社であれば、どこの保険会社の窓口でも受け付けます。
つぎに、請求のための必要書類は、保険金請求の場合と大差ありませんが、つぎの点が保険請求の場合と異なっています。
損害の填補請求書、保険請求のときの保険金、損害賠償額支払請求書に代わるもの。
他の法令の給付に関する書面、法は七三条で「被害者が、健康保険法、労働災害補償保険法その他政令で定める法令に基いて前条第一項の規定による損害の填補に相当する給付を受けるべき場合には、政府は、その給付に相当する金額の限度において、同項の規定による損害の填補をしない」と規定しています。
このことは保険事業が、他の手段によって救済されない被害者を、最終的に救済することを目的としているためなのです。
したがって、保険事業は被害者が健康保険、労災保険など他の社会保険の給付を受けられる場合は、まずそちらの方の給付を受け、その受けた金額が保障事業の填補の法定金額以下の場合、法定金額と他の社会保険より給付を受けた金額、または受け得られる予定金額との差額の範囲内で、残損害部分を填補するということになるのです。これらの法令による給付を受けた場合、または受け得られる場合にはその給付の根拠、および給付金額を証するに足る書面の提出が必要となります。
保険会社に対する委任状、保険請求の際に必要とする委任状は被・加害者が自己の都合により自身で請求することが不能の場合、第三者に委任を行なう際に必要とするのですが、保障事業に請求するには、前記委任状とは別に、省令にもとづき、保険会社に対し、損害の填補の請求ならびに受領について委任を行なう旨の委任状の提出が必要となります。なお、用紙は保険会社の窓口または調査事務所にあります。
経営者が責任を負わない自動車の使い方は/ 他の会社の車で事故を起こしたときの責任/ 倒産会社の車が起こした事故と債権者集会の責任/ 無断運転の同乗者がケガをしたときの会社の責任/ 現場の運転手の事故に社長は責任を負うか/ 運行管理をしていない重役にも事故の責任はあるか/ マイカーが通勤中に起こした事故と会社の責任/ 無断運転で事故を起こされたときの会社の責任/ 妻名義の車で夫が事故を起こしたときの妻の責任/ 下請会社が事故を起こしたときの元請会社の責任/ 企業のマークを許した運送会社の車が事故を起こしたとき/ 代表取締役個人が交通事故の責任を負う場合があるか/ 事故現場でとるべき措置と義務/ 相手に過失があるときの応答/ 事故現場で心得ておくべき事柄/ 事故現場で警察官と応答するとき/ 自分に過失がないときの対応の仕方/ 事故現場で有利な状況判断をするには/ 他人の過失で事故が起きたときの対応/ 事故現場での運転者の心得/ 実況見分書などの作成で注意すべき点/ 被害者の過失を立証する資料はどう集めるか/ 数ヶ月たってから被害者が賠償を請求/ 持病による入院治療費を支払う必要があるか/ 運転手が助手を轢いたときの賠償/ 加害者が示談するときの注意点/ 被害者が脅迫的に賠償請求するときは/ 警察官の取調べにどう対応したらよいか/ 検察官の取調べにはどう応答するか/ 事故現場から刑務所までの手続き/ 刑事事件で弁護人を依頼するとき/ 刑事裁判の手続きはどう進められるか/ 面会や差入れをしたいときはどうするか/ 保釈と保証金の取扱い/ 刑罰の種類と執行猶予の関係/ 事故の量刑はどのようにして決められるか/ 示談による解決と刑罰の関係/ 交通違反で懲役刑になるときは/ 刑の執行はどのようにしてされるか/ 故意犯にも区別があるか/ 過失犯に刑罰の軽重がでてくる理由/ 故意と過失を区別する基準/ 信頼の原則とは/ 違反現場で抗弁を聞いてくれない/ 標識が見えないときの違反はどうなるか/ 自動車検問を警察官ができる場合/ スピード違反で手錠をかけられたときの対策/ 見にくい標識を見過ごしても交通違反か/ 保険契約の手続きと要点/ 運転手は強制保険によって保護されるか/ 保険金の請求は被害者からもできるか/ 被害者が填補金を請求できる場合/ 通知義務違反を理由に保険金を払ってくれない/ 死亡による慰謝料を払ってくれない/ タクシーで落石事故にあい保険金がもらえない/ 子供の得べかりし利益の算定に納得がいかない/ 示談後に予想外に治療費がかさみ追加請求したが/
copyrght(c).道路と交通の豆知識.all rights reserved