自動車検問を警察官ができる場合
私はいつも自動車を運転して通勤しておりますが、最近よく夜などに警察官に自動車を停車させられ、いろいろなことを質問されます。とくにいそいでいるときには、停車させられると腹が立ってくることもありますが、やむをえず我慢している状態です。警察官が行なうこのような自動車検問は許されるのでしょうか。
普通、警察官は個人の生命、身体および財産の保護、犯罪の予防、公安の維持ならびに他の法令の執行等の職務を遂行しているわけですが、それを規定しているのが「警察官職務執行法」という法律です。
そこで本問の場合のように、警察官が一般通行中の自動車を停車させ、運転者や乗客に対し質問する「自動車検問」が許されているのかどうかという点ですが、このポイントはつぎの点から導かれてきます。すなわち、前記警察官職務執行法の二条一項に「警察官は異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる」という点にあります。したがって、この要件を自動車運転者はみたしていないから警察官は自動車を停止させて質問することはできないという理くつになってくるのですが、この点について、裁判所はつぎのようにいっております。
「一般の歩行者であれば、警察官はその挙動、態度を注視することによって職務質問の要件の存否を判断することができるが、高速度で走る自動車に乗車している者に対してに、停車しなければ職務質問の要件の存否を判断することは不可能であり、自動車を利用する者に対しても警察官に職務質問をする権限を与えているとみるべきであり、その要件を確認するために自動車を停止させる権限をも合わせて与えたものである」としております。
また、要件の存否な確認するために、ニ、三の質問をすることもある程度認めております。
したがって、あなたが通勤の途中でも警察官に停止させられた場合には、多少いそぐ場合でも停止しなければなりません。まして、腹立ちまぎれに警察官を殴打したともなれば、公務執行妨害罪といういかめしい名前の罪があなたを待っておりますから、くれぐれも注意してください。
なお、警察官が職務を行なうについては最小限度においてのみ応変な手段がとられなければなりませんから、いやしくもその職務行為が濫用された場合には、おのずから別の問題が発生してくるのは当然です。
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