保釈と保証金の取扱い
身柄拘束されている被疑者が、起訴されると被告人に変わりません。被告人になりますと、裁判所の決定により一定の金銭を納付して、裁判終了まで一時身柄を釈放してもらう制度があります。これを保釈と呼び、納める金銭を保釈保証金と言っております。保釈請求権は身柄拘束中の被告人によって自由を得るための重要な権利の一つです。
保釈を請求できるものは、被告人本人、弁護人のほかに、親権者、配偶者、親族、兄弟姉妹などです。
保釈の要件は法律上いろいろと細かい要件が定められています。
要約しますと住居不定、罪証隠滅のおそれ、第三者に危害を加える危険、法定刑が一年以下の場合には原則として許可となり、その他の場合には裁判官の裁量により許されることとなっています。殺人事件や強姦事件と異なり交通事件の多くは、善良な市民の事件ですので保釈の許可は高くなっています。
保釈の具体的な手続きは、まず保釈請求権者が裁判所に対して書面で申請することです。この申請がされると裁判官が、検察官の意見を聞いて可否を定めます。
許可の場合は保釈金額を併せて決定します。保釈保証金は裁判所の会社に納入する仕組みとなっており、納入がありますと、裁判所から検察官に連絡がいき、検察官が釈放の指揮をとります。地方の裁判所ですと、申請があって許可となるまでに半曰くらいの時間ですみます。都会の裁判所では、事務量の増大と組織の関係で、数日を要します。
保釈金額は、被告人の出頭を確保し逃走を防止するための足かせとなるものですから、事件の内容、犯罪の情状、証拠方法、被告人の地位身分、職業、家庭、資産、年令等一切の事情が考慮されて決められるものです。
貧困のため保証金を積むことができないときには、保証書によって、これを認めることがあります。弁護人など特定のものの保証書提出によって、保証金に替えるものです。
保釈によって釈放されたものは、種々の条件がつけられます。転居や旅行の場合には裁判所の許可がいりますし、理由なく裁判所の呼び出しに応じないときには、保釈が取り消されることもあります。保釈が取消しとなるときには保証金没取の処分もあわせてなされます。
裁判の結果、罰金や執行猶予の判決があったときは保証金は返還となります。裁判の結果実刑に処せられますと、保釈は失効となり身柄は拘束されますので、控訴とともに再保釈の申請をしなければならないことになります。
なお、保証金は、実刑の判決があっても、規定にしたがって服役すれば、返還されることになります。
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