警察官の取調べにどう対応したらよいか
路地から飛び出してきた子供をはねてしまいました。私にも前方不注意などの過失があることはわかっていますが、現場に来た警察官は非常に威張っていて、私の言うことをほとんど聞いてくれないばかりか、私がいろいろ弁解すると、怒鳴ったりします。警察署には、これから行かなければならないのですが、警察官の取調べについては、どんなことを注意して話をしたら良いでしょうか。
警察官の取調べだからといって、べつにおそれることもありませんし、とくに技術や工夫か必要だということはありません。しかしこちらも加害者という立場にある人間ですし、相手も警察官とはいえ普通の人間ですから、考えておかなければならないことはいくつかあります。
まず、法律論から申しますと、誰でも取調べにあたっては、言いたくないことはいわなくともよいという黙否権とか供述拒否権があります。また弁護人をいつでも選任できる権利があります。法律的な無知の結果が以外な不利な供述を導いてしまった例はいくつもあるところです。正当な権利を防禦するためにも早めに弁護人を選任することです。
その他、権利としては、不当な拘束や強制を受けない権利、出頭を強制されない権利などもあります。これらの権利を知ったうえで取調べにのぞむのが精神的にも大切なことかと思います。
そこでつぎに二、三の具体的な問題点を考えてみましょう。
第一に重要なことは真実を述べることです。被疑者といっても自己を防衛するために権利を行使できることは当然ですが、虚偽の事実を述べることは許されていないところです。
かりに自分勝手なことを述べても、現場に残されたブレーキ痕やスリップ痕、ガラスの破片、目撃者の証言など、科学的な判断や証拠でくつがえされてしまいます。取調べにあたって供述する以上うそをついてはいけません。
第二に、おちついて冷静に応待しましょう。事故直後は気も転倒し、興奮しているときですから落ち着くということはなかなか難しいことです。興奮のあまり、自己の非を棚上げしてしまって、被害者側の過失のみを強調し、あるいは警察官にかみつくようなことでは、自己に有利な事実を知ってもらうどころか、取調官の心証をすっかり害してしまうことにもなりかねません。冷静におちつくことが、事実の判断を正しいものにし、応答の仕方によって適切な資料も提供され、あるいは収集され、それを受ける警察官も冷静な第三者として、かたよることなく事件の捜査にあたれるものだといえます。
第三は、主張や事実の説明は遠慮しないことです。加害者だからといって遠慮したり、取調べをおそれて卑屈になることはありません。言うべきことは、はっきりと相手が納得してくれるまで述べるべきです。真実は真実なのですから、その場はいやな顔をされても、堂々と自分の経験した事実をありのままに述べることです。
もっとも、法律の解釈論や理くつはやめましょう。教習所などで教えられた生半可な理論を振り回す人を見かけますが、取調官はその道の専門家ですから、理論的な問題点に関しては弁護人に述べてもらうこととして、供述は事実だけにしぼりたいものです。
最後に、取調べがすみますと、警察官は読み聞かせたうえ、誤りがない旨を確認させ、調書の末尾に署名押印を求めます。読み聞かせることを省略したり、訂正の申立てにも応じないときは、署名押印を拒否すべきです。
これがないと後日裁判所の証拠とすることはできませんし、遂に確認せずに署名押印をしてしまうと、その内容がちがっているとか、無理にのべさせられたなどと争うことはほとんど困難なものとなります。
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