自分に過失がないときの対応の仕方

交通事故のなかには、こちらがいくら注意しても防ぎようがないばあい、つまり不可抗力による事故もあり、また、こちらは注意義務のすべてを尽くして、全然落度が なかったのに相手の不注意で超こる事故もあります。
 ただ、知っておきたいことは、たとえ被害者側に過失があったとしても、それがただちに加害者側の罪を消滅させる理由にはならないということです。たとえば、相手が幼児や老人で、こちらの警報、警笛などが聞こえなかったとか理解しなかったとかいうばあいには、こちらの罪はまぬがれません。
 だれが見ても、被害者はこちらの警告を承知する能力をもっており、しかもそのために、待避などもできたにもかかわらず、急に飛び出してきて事故となったという場合にはじめて、こちらに注意義務違反はなく、したがって罪にならないといえるのです。
 このばあいの責任は明らか相手側にあるのですから、この点を取調べにあたっても協調すべきです。

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このように、相手が老人や幼兄のばあいには、単に警告をするなどのおざなりの注意、用心では罪をまぬがれないのですが、こちらがいくら注意しても防ぎようがなかったほどに突発的だったとか、危険がどうしても予想できなかったとかいう場合にはたとえ相手が老人子供でも、こちらは過失犯としての責任を負わないですむのです。
 たとえば人通りのない、見通しのよい道路の左側か制限速度で運転していたところ、道路の木のかげから被害者が急に自動車の直前にとび出してきたので、轢いたというようなばあいには、被害者の突然の行動は全く予測できないことで、避けようがなかったのですから、過失致死の罪を問われることはありません。
 ところで、交通事故が起きたとき、自分が前方注」、安全速度、道路関係の法規遵守の三大原則をいかに注意していたかを強調するのは、警官と話しあうときもきわめて大切です。
 前方注視義務違反では全く障碍物を発見し得なかったとか、発見が遅れた当然の理由がはっきりすれば、運転者の責任は追求されないからです。
 安全速度違反の事故では制限速度がわからなかったとか、公衆に害を及ぼすおそれが全然なかったような場合は情状酌量の余地も認められます。
 道路関係法規違反では歩行者や、車の通行状態によっては道路の左側を通行しなくてもよい場合もあります。
 しかし、警官でも、案外これらの法規を知らないものもあります。そういうときは、逆にこちらから法規の知識を示してや ることが大切です。

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