刑事裁判の手続きはどう進められるか
検察官の起訴により公判手続きの請求が裁判所になされますと、事件の審理は、公開の法廷で審理が始まります。審理の対象は起訴状に記載された犯罪事実が中心とな
ります。起訴されていない事実は審理の対象とはなりません。
審理は裁判を求める検察官と、被告人の権利を防禦する弁護人との間の争いですすめられ、裁判所の判決によって最終段階に至ります。裁判所が行なう起訴から判決に至る一連の手続きを公判手続きと呼び、刑事訴訟法、同規則で詳細に定められております。
第一審の手続きはつぎのようにすすめられます。
(1) 公訴の提起
検察官から裁判所に対して起訴状という書面を差し出すことによって事件が裁判所に移ります。被告人には起訴状の謄本が送られ、いかなる犯罪について起訴されたかが明らかとなります。
(2) 弁護人の選任
被告人はいつでも弁護人を選任できますが、弁護人を選任してないときには、業務上過失傷害の事件は、必要的弁護事件ですので、国選で弁護人が付けられることになります。
(3) 保釈の請求
逮捕勾留によって身柄を拘束されている者は、起訴によって保釈を請求できることになります。証拠を隠滅するおそれがないときには、保証金を積んで、裁判が終わるまで釈放されます。
(4) 期日の決定と召換
裁判所は一、二ヵ月くらいの余裕をおいて、公判期日を決定し関係者に連絡するとともに、被告人には召換状を送ります。
(5) 人定質問
公判は、まず被告人が人違いでないかどうかの質問を行ないます。本籍、出生地、住居、年令、職業を質問して確認します。法廷では裁判官の入退場、発言の場合は起立することが礼儀となっていますので、裁判官の質問に起立してはきはきと答えたいものです。最初の印象は重要です。
(6) 起訴状朗読
検察官が起訴状を朗読して、公開の法廷において裁判の対象を明らかにします。
(7) 黙秘権の告知
裁判官から被告人に対し、公判廷では無否権のあること、答えたくなければ無っていてもよいこと、述べたことは全て証拠となることなどが説明されます。
(8) 被告人および弁護人の事件についての陳述
起訴事実を認めるか否か、あるいは不満とする部分、事実と異なる部分はとこか、法律的な争点はとこかを明らかにするものです。被告人がこの段階で起訴事実を認め有罪であることを自認いたしますと事件は簡易公判手続きという特別な方式により迅速に処理されます。
(9) 検察官の冒頭陳述
起訴状は法律上の要件事実のみしか書いてありませんので、検察官がこれから立証しようとする具体的事実を肉付けして陳述する手続きです。
(10) 検察官の立証
検察官からこれまで捜査によって得られた資料が提出されます。実況見分調書、供述調書、被害届、診所書、ガラスの被片や塗料の断片などの証拠物などがこれです。また調書が出されなかったり不十分な場合は、証人申請や検証の申請もあります。証人は法廷で宣誓のうえ証言し、検察官の主尋問、弁護人の反対尋問、裁判所の補完尋問にさらされます。
(11) 弁護人の冒頭陳述と証拠調べ
検察側の立証が終わりますと弁護側に移ります。弁護側から被告人に有利な証拠が提出となります。示談書、領収証、嘆願書などがこれです。また被告人に対しても弁護人から質問がなされて、被告人の述べたいことを明らかにします。
(12) 検察官の論告・求刑
双方の証拠調べが終わりますと、検察官が事件について意見を述べ、刑がどれくらいが相当であるかの具体的な意見を述べます。判決は求刑に拘束されませんが、基準として考慮されますし、求刑より上回る判決というものはほとんどありません。
(13) 弁護人の弁論
弁護人から検察官の主張に対する反論や、被告人に有利な事情について説明し、被告人のために弁論します。
(14) 被告人の最終陳述
最後に、被告人も意見を述べることができます。弁護人の意見でいいつくされておりますので、被告人が意見を述べるのはまれです。
(15) 判決宣告
法廷において、裁判官から口頭で言い渡されます。
以上の手続きは、簡単な場合は三〇分から一時間くらいで終結し、判決がで二週間後になされるのが通例です。一審の判決に不服なときには判決後二週間以内に控訴ができます。
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