相手に過失があるときの応答

交通事故が起きた場合、いつも加害者の方ばかりに過失があるわけでもないはずです。相手に過失がある場合に、警察での取調べのときや裁判になったとき、あるいは 損害賠償の請求をうけたときに、加害者側に有利に解決するには、事故現場ではどのような点に留意して処理すればよいのでしょうか。
 事故のデータを整理して、これを記録しておくことを忘れないでください。自分でもあとでわからなくなることがありますから、事故直後に事故の当時の状況をふりかえってみて、正確に記録しておくことが大切です。
 また、交通事故発生の直後は、急ブレーキの音、あるいは被害者の無謀な車道横断などについては、案外、目撃者が正しく事故の経過を見ているものですから、後日の証人として住所、氏名、電話番号などをきいたうえ、目撃談を聞かせてもらい、これを手帳に記入しておくことです。

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そして、この記録は、示談の成立または判決までの経過を、たとえば「いつ、誰と見舞いにいった」「お見舞金としていくら 渡した」「示談の交渉を誰とおこなった、そのときの話合いの内容は」のこと細かに書き連ねてとっておくようにしてください。
 そうすると、警察、検察庁での取調べのとき、あるいは裁判になったときなどに非常に助かります。
 事故をおこすと、たいていの運転者は、自分の方が悪いことになるだろうという考えが無意識のうちに働き、落ち着きを失たってしまうのがふつうです。
 しかし、交通事故というものは、一方のみの過失によっておこるとは、かぎりません。双方の過失によって、おこるばあいもあるのですから、「事故だ」ということであわててしまい、自己を失なうようなことのないようにしてください。
 そうでないと、一方的に、自分の過失のみによって、事故がおこったことにされてしまい、思わぬおおきな損害を負担させられることにもなりかねません。
 なかには、当たり屋などといって、わざと自動車にちょっとひかれて、示談金をせしめようとする者がいますから、冷静に事故を観察して、不覚をとらぬようにしなければなりません。参考までに、この当り屋かどうかを判断する一応のメドをあげておきます。
 第一に、当たられるほうの車は自家用車、それも比較的高級車が対象とされるのが普通です。
 第二に、被害者側にあまりにも都合よく話ができ過ぎているときで、同行者や見ていた人などがすぐに「示談で解決したら」とか「運転手が悪い」などというときにはあやしいのです。
 第三に、被害者の傷が、手や足や比較的に身体の軽いところに発生します。それなのに、大声をあげたりして、大怪我をよそおいます。だいたい以上の点に注意すれば、まずだまされて治療費や慰謝料などをとられることはないでしょう。
 ともかく、交通事故をおこした場合、自己に有利にこれを解決できるかどうかは、いつに事故直後の処置の巧拙によるところがきわめて大きいということを忘れないでください。

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