事故現場から刑務所までの手続き

事故が発生しますと、まず警察官に事故の報告がなされます。警察官は現場にかけつけますと、被害者の救助や事故防止の措置をとったうえ、事件関係者からの事情聴 取や、現場の計測、写真撮影などの実況見分を行ない、証拠の採取も行ないます。この際、酒酔いや、無免許運転などによる悪質な事件で、逃走のおそれや証拠隠滅のおそれがある場合には逮捕する手続きもとられます。
 ついで、病院や警察署で供述調書が作成されます。これは警察官が関係者から事情を聞いて調書にまとめあげ、供述者に署名押印させたものです。実況見分の結果は実況見分調書にまとめあげられます。
 警察での捜査が一段落しますと、つぎに事件は検察庁に送られます。ここで法律の専門家である検察官によって、もう一度調査され、事実に誤りがなかったかを確認のうえ、処分のふるいわけが行なわれます。検察官は起訴するかもしれないが、起訴するとしても、禁錮や懲役刑のいずれを求刑するかを判断します。

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裁判所は、検察官が起訴し処分を求めたものについて最終的な判断をするところです。軽微で簡易なものは、交通切符や即決裁判、略式命令などの迅速な定型的手続きで処理され、罰金の処分となります。
 これに対して重い悪質の事件は公開の法廷で審理されることになります。検察官弁護人が立ち会い、被告人も法廷に立って、証拠調べがすすめられ、判決の言渡しとなります。
 判決の内容は、罰金刑の場合はまれで、多くは懲役別や禁錮刑です。情状によって執行猶予の判決がなされ、別に服することを猶予される場合もあります。
 裁判は三審制度をとっておりますので、一審の裁判に不服の場合は、高等裁判所に控訴かでき、さらに不服のときは最高裁判所に上告することもできます。
 警察で逮捕された身柄は、捜査が一段落しますと拘置所に移されます。検察官から起訴されますと、保釈を請求する権利が生じます。一定の保証金を積んで一時釈放される制度です。判決が実刑ですと保釈は失効して再び拘束されることになります。
 刑罰が決まりますと、その執行は検察官の命令によってなされます。罰金は検察庁に納めますが、納めないと労役場に留置されます。禁鋼や懲役の別は刑務所で執行されます。交通違反者が激増しておりますので、交通刑務所にはいれるのはごく限られた人だけで多くは一般の刑務所に収容されます。
 なお、免許の取消しや停止の処分がありますが、これは公安委員会が行なうもので、刑事処分とは違って行政処分と呼ばれるものです。
 もっとも、この事務を取り扱うのは現場の警察官ですから、一般には刑事処分と同じものと誤解されがちです。事件処理の方法の相違もあって免許の停止や取消しの処分の方が早いのが通例です。

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