検察官の取調べにはどう応答するか

事故の直後に現場で取り調べられ、その後、警察署で調書をとられました。非常にくわしく調べられましたので、もう一度と調べはないと思っていたのに、三ヵ月もたった頃になって検察庁から呼び出しがきました。検察官は何を調べるものなのでしょうか、被害者は処分が軽かったら法律的手続きをとって私を重く処罰するといっていますがそのような手続きはあるのでしょうか。

 検察官の職務は、法律の専門家として、警察官から送致を受けた事件を取り調べて、起訴不起訴の処分を決定します。または.自から直接事件を立件する場合もあります。起訴後は公判の維持遂行にあたり、裁判確定後の刑の執行指揮も担当します。
 検察官の取調べの多くは、警察官から送致を受けた事件について、法律的観点から検討し、捜査の手落ち部分や不備な点の補充的捜査が中心となります。
 したがって、警察官の取り調べた捜査が基礎となってすすむことになります。実況見分調書、供述調書など警察での調べを前提としていますから、場合によって被疑者を一回調べる程度で処分決定となります。ですから警察官の調べの段階が重要なことになるわけです。

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検察官の調べに対しては、警察段階での調査のうち、自己の供述と違う点、不備な点を、はっきりと、具体的に指摘すること。その裏付けとなる資料を準備しておくこと。たとえば現場の写真、目撃者参考人などのリスト、上申書などです。
 また、検察官は起訴、不起訴、あるいは罰金刑求刑や体刑求刑などの決定権者ですから、情状の資料となる示談書、領収証、嘆願書等の資料を用意して持参することです。起訴される前に準備したいものです。
 被疑者の方でこれだけの準備をして検察庁の取調べにのぞめば、検察官はあらためて、事件を警察官とは異なる観点から検討し、捜査のやりなおしや補充をすることが容易となります。替え玉犯人など、この段階で真実を述べれば、後日、大変な問題にならずにすむともいえます。
 ところで、検察官の処分ですが、起訴された事件についての最終処分権者は裁判所にありますから、その処分の軽重については、被害者側から争う余地はありません。
 しかし不起訴処分については問題があります。不起訴というのは、事件が犯罪とならない場合、事件について犯罪の証明が困難なとき、犯罪の立証はできるのだが事件の内容、年令、性格、境遇、前科、前歴、犯罪の軽重、情状等に照らして起訴を不相当とするときの処分をいいます。加害運転者にとってはたいへんにありがたい処分になるわけです。
 そこで、これらの処分に対しては、交通事故の被害者の遺族の側から、その処分が不公平であったり、片手落ちの処分であるとして不服申立ての道をあたえております。その一つは、検察官の指揮監督者にあたる高等検察庁の検事長や、最高検察庁検事総長に対して、不起訴処分が不当であり取消変更をなすべき旨の申立ての方法です。
 他の一つは、裁判所の検察審査会に対する審査申立てです。検察審査会は地方裁判所ごとに設けられており、審査員は選挙権を有する国民のなかから選任され、広く民衆の意思が反映されるようになっています。被害者らから不服の申立てを受けますと、審査会は非公開で審理をし、起訴相当または不起訴相当の議決書を作成して検事正あてに送付します。これによって被害者側は不起訴を争えるわけです。しかし法律上は、この議決は検察官を拘束しませんので、参考にされる程度にとどまり、制度上不備であるといわれております。

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