刑の執行はどのようにしてされるか
交通事犯の刑は、罰金刑、懲役刑、禁錮刑の三つに大別することができます。刑の執行は裁判の確定をまって、検察官の執行指揮によってなされます。
まず、罰金ですが、検察庁から被告人に納入するよう告知書が送られ、直接検察庁の窓口に持参するか、郵送しても良いことになっています。高額のため即金で因難なときには分納申請や納付の延期申請もできますし、また本人でなく、他の人がその人のために納付してもかまいません。理由なく納入を怠りますと、強制執行を受け、財産などが競売となります。
また、強制執行によらずに、身柄を労役場に留置して一定の労役を課することもできます。一日の労役を罰金いくらに換算するかは、裁判の際にあらかじめ決定してあります。なお、罰金については二年の範囲をこえて、労役場に留置することは許されておりません。
しかし、一般には横着をして罰金を未納しておいて、身柄を拘束されてから、あわてて支払う人が多いようですから、くれぐれもそのようなことのないよう注意してください。
なお、判決の確定を待っていると罰金の執行が不能または甚しく困難となる危険があるときには裁判所は仮納付の命令を下します。この命令があると、ただちに執行となります。
懲役刑や禁錮刑を体刑と呼んでいます。懲役は労働を強制するのに対して、禁錮は労役を課さず、拘束をするだけのものです。禁錮の場合も本人が希望すれば一定の作業につくことが許可になります。一般に交通事故のみの過失犯については禁錮刑、酒酔い、無免許、ひき逃げ、速度違反、横断歩道上の事故など、悪質な事案による交通事故に対しては、原則として懲役刑になるといえます。
刑務所に入りますと、未決の拘置所と異なって、刑務所の一切の指導下に入り、食事や差入れの自由もなく、服装も官給品となります。入所の二、三週間は反省と分類にあてられ、分類の結果に基づいて全国の刑務所に分散させられます。交通事犯の場合は用務所内での作業は主として雑役的な仕事が課せられます。食事、掃除などが多いようです。長期の刑のものには木工、印刷、農業などが課せられます。なお、できる限り房の生活や休業には他事件の服役者と接触させず、交通事犯者をまとめて処遇するよう配慮されています。
なお、改悛の情が著しく、社会復帰が可能と考えられる者で、刑期の三分の一以上を終わった者に対して仮釈放という制度がありますが、三〜四ヵ月の刑の短い懲役刑者はほぼ、全期間拘束されます。
交通刑務所は、開放的処遇に近い近代的刑務所であることによって著名です。
しかし、交通事犯者の全部がここに入れられるものではありません。ここへの収容基準は、禁錮刑であること、前科のない交通事故の初犯者であること、刑が三ヵ月以上のこと、心身に著しい障害のないこと、管理上支障をきたすおそれのないものであることなどとなっていて、しかも常に定員いっぱいですから、この基準該当者からさらに選択されます。
経営者が責任を負わない自動車の使い方は/ 他の会社の車で事故を起こしたときの責任/ 倒産会社の車が起こした事故と債権者集会の責任/ 無断運転の同乗者がケガをしたときの会社の責任/ 現場の運転手の事故に社長は責任を負うか/ 運行管理をしていない重役にも事故の責任はあるか/ マイカーが通勤中に起こした事故と会社の責任/ 無断運転で事故を起こされたときの会社の責任/ 妻名義の車で夫が事故を起こしたときの妻の責任/ 下請会社が事故を起こしたときの元請会社の責任/ 企業のマークを許した運送会社の車が事故を起こしたとき/ 代表取締役個人が交通事故の責任を負う場合があるか/ 事故現場でとるべき措置と義務/ 相手に過失があるときの応答/ 事故現場で心得ておくべき事柄/ 事故現場で警察官と応答するとき/ 自分に過失がないときの対応の仕方/ 事故現場で有利な状況判断をするには/ 他人の過失で事故が起きたときの対応/ 事故現場での運転者の心得/ 実況見分書などの作成で注意すべき点/ 被害者の過失を立証する資料はどう集めるか/ 数ヶ月たってから被害者が賠償を請求/ 持病による入院治療費を支払う必要があるか/ 運転手が助手を轢いたときの賠償/ 加害者が示談するときの注意点/ 被害者が脅迫的に賠償請求するときは/ 警察官の取調べにどう対応したらよいか/ 検察官の取調べにはどう応答するか/ 事故現場から刑務所までの手続き/ 刑事事件で弁護人を依頼するとき/ 刑事裁判の手続きはどう進められるか/ 面会や差入れをしたいときはどうするか/ 保釈と保証金の取扱い/ 刑罰の種類と執行猶予の関係/ 事故の量刑はどのようにして決められるか/ 示談による解決と刑罰の関係/ 交通違反で懲役刑になるときは/ 刑の執行はどのようにしてされるか/ 故意犯にも区別があるか/ 過失犯に刑罰の軽重がでてくる理由/ 故意と過失を区別する基準/ 信頼の原則とは/ 違反現場で抗弁を聞いてくれない/ 標識が見えないときの違反はどうなるか/ 自動車検問を警察官ができる場合/ スピード違反で手錠をかけられたときの対策/ 見にくい標識を見過ごしても交通違反か/ 保険契約の手続きと要点/ 運転手は強制保険によって保護されるか/ 保険金の請求は被害者からもできるか/ 被害者が填補金を請求できる場合/ 通知義務違反を理由に保険金を払ってくれない/ 死亡による慰謝料を払ってくれない/ タクシーで落石事故にあい保険金がもらえない/ 子供の得べかりし利益の算定に納得がいかない/ 示談後に予想外に治療費がかさみ追加請求したが/
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