故意と過失を区別する基準

交通事故や交通違反で裁判所が適用する法律にはどんなものがあるのでしょうか。故意犯と過失犯の区別からはじめましょう。故意犯は、自分のやろうとしていることを知りながらあえて行なう場合であり、これに対して過失犯は、ちょっと注意すれば気がつくはずなのに、不注意によって自分が違反していることを知らない場合のことです。
 たとえば、スピードメーターを見て制限速度をオーバーしていることを知りながら運転すればて故意犯であり、スピードメーターが狂っているために二〇キロのスピード超過に気がつかなかったけれど、求め振動の具合から当然気がつくはずだった場合には、過失犯です。
 敵意のスピード違反は六月以下の懲役または五万円以下の罰金ですが、過失のスピード違反は三ヵ月以下の禁錮または五万円以下の罰金です。
 交通違反や交通事故の刑事事件の場合には、故意があったかどうか立証することが困難ですので、過大犯になるケースが多いようです。
 しかし、タクシーの運転手が乗車拒否をし、ドアに手をかけた乗客を一〇〇メートルも引きずり疾走し、全治一ヵ月の重傷を負わせた事故について、東京地方裁判所では、失心の故意による殺人未遂罪を適用し、懲役二年の実刑を科し、新聞などで話 題をよんだ例があります。

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未必の故意とは、行為の結果がどうなるかはいちおう認識してはいるが、結果が発生してもかまわないという心理状態のことをいいます。
 たとえば、前述の事件でも、運転手に客を殺そうという意思はなかったのですが、このまま走れば殺すおそれかおるということを認識しつつ走ったものとされ、懲役二年の刑を科せられたものです。
 これに対し結果が発生しては困るという心理状態の場合は、やはり不注意から犯罪 が生じるもので過失犯となります。これは認識ある過失と呼ばれるもので、未必の故意とは区別されています。
 以上のように未必の故意は、故意と過失の中間に位置するものといえます。この例でいえば、殺すことになるかもしれないという認識があったことが立証できないときには、過失犯となり、常務上過失傷害として処罰されるのです。
 故意犯と過失犯では刑罰の重さもかなり追ってきますので重要なことです。

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