道路事情

日本の道路は本来人間が歩いて通行できればよいという考え方で作られてきました。交通手段の成り立ちが欧米とは異なっていたこともあり、車が走りやすいという道路がなかなか作られませんでした。それは日本が島国で、しかも山が多いという地形的な制約からくる事情もありました。今日の道路状況では意外ですが、日本に道路らしい道路が誕生するのは昭和30年代の後半ということになります。戦前にも一部に今日的な道路がなかったわけではありませんが、日本を代表する国道一号線にしても舗装は中央部分だけだったり、箱根越えの山岳地帯では、車の相互通行に苦労していました。戦後にアメリカから調査団が来日した際に、即座に日本には道路はないと断言したほどでした。その後時代背景もあり、日本の道路は急速に整備されていきました。高度成長を支えてきたもののひとつに道路整備があり、同時に、日本に自動車時代をもたらし、それがまた道路の整備を促進させるという循環を続けることとなりました。そして日本中に波及した自動車の波は日本の自動車産業の発展をも促し、ついては世界一の自動車王国とにもなりました。しかしその一方では、道路に伴う公害の発生も問題となってきており、日本の道路は成長期を終え、新しい世代に入ろうとしています。

道路と交通

高速道路

一般に高速道路といえば出入制限を設けているものと、そうでないものとに分けられます。アメリカでは出入制限を設けている方はフリーウェイと言い、出入制限なしの方をエクスプレスウェイと言って分類しています。日本に本格的な高速道路が誕生したのは昭和39年のことで、西宮と小牧を結んで完成した名神高速道路がその第1号です。その後に東名、中央、関越などと次々と高速道路の建設が進み、今日では日本列島を縦に貫く形で、20道路、約3,435kmにもおよぶ高速道路が完成しています。高速道路と一般道の違いはその文字の通り、高速道路の方は車両が高速で通行するに適した設計がなされていることです。日本の高速道路の場合は基本的には時速120km走行が可能なようになっていますが、山岳地帯を縫って道路を建設しなければならないだけに関係者の苦労ははかりしれません。そして高速道路は他の道路と平面交差があってはなりません。高速道路を確保するために、1本の道路として独立したものとして作られます。そして、高速運行の安全性維持のために、上り下りの車両を分離する必要がありました。そして高速の追いこしを想定して、上り下りとも最低各2車線は確保しなければなりません。以上のように、高速道路は自動車の持つ高速で人間や貨物を移動させることが出来るというメリットを最大限発揮させようという考え方から誕生した自動車専用道路です。これに対して一般道路は人間が歩き、自転車が走るといったぐあいにいろいろな速度のものが混在しているものだという点を改めて認識しておきましょう。

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