見にくい標識を見過ごしても交通違反か

私は普通自動車の運転をしている者ですが、先日、一方通行の道路を反対のほうからはいってしまい、結局、道路交通法違反ということにたりました。しかし、一方通 行の標識はあるにはありましたが、運転をしているときには、相当注意しなければわからないところにあってその標識では運転者にとってあまりにも不親切だと思いま す。このような場合にも、やはり自動車運転者に責任が発生してくるのでしょうか。

 本問の場合のように、客観的にみた場合でも道路標識が自動車運転者にとって見にくい場所に設置してあったならば、実際不公平不親切なことだと思います。とくに近年のように自動車が増え交通事情が悪化しているような場合には、道路標識がいろいろとできて、それがあちこちの場所に設置されておりますが、この道路標識もただ設置されていればよいというだけでなく、自動車運転者にとって見ただけですぐどんな通行の規制が行なわれているかがわかるようにしなければならないのは当然です。

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近年、本問と同じような場合に関し、最高裁判所の判決があり、それによれば、道路標識が見にくい場所にまぎわらしい状態で設置されていた場合には、その標識によってなされる交通規制は、適法有効になされているものということができないとして、交通規制に違反した者に対し無罪をいい渡しております。
 ただ、どんな場合が見にくい場所にあたり、またはまぎらわしい状態かといえば、今ここで一般的には説明できませんが、相当に厳格に解されているようです。前の最高裁の判例を見ましても、一方通行の標識の場合ですが、その標識が交差点から四・七米も奥に入った場所にあり、その矢印も正確に方向を示しておらず、また交差点を交差する他の道路も一方通行と指定されており、その上、この標識と他の道路標識が一部重なり合うようにして設置されているような状態であることが要件となっております。
 いずれにしても、道路標識が設置されているからといって、その違反がそのまま道路交通法違反になるというものではなく、設置の方法が悪い場合には適法有効な交通規制がなされていないことになり、それに違反したとしても運転者に責任はないことにになるわけです。したがって、本問の場合も、道路標識がどのような状態において設置されていたのかが問題になってきますし、具体的に判断しなければなりませんが、客観的にみて道路標識が見にくい状態であれば責任を負う必要はありません。

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