事故現場で警察官と応答するとき
事故の相手が、その会社の事故係であるとか、老獪な運転手の場合は、うまくあしらわれてしまうという話を耳にしますが、こんな相手との上手な応対の仕方はないでしょうか。また、現場での警察官の取調べに対しては、どんなふうに応じたらよいのでしょうか。
交通事故の相手がタクシーの場合には、交渉はその会社の専門事故係が行なうのが普通です。
この事故係は交通事故にかけては、それこそ海千山千の猛者が多いので、とても素人とには太刀打ちできないものが多いのです。
こんなときは対等に話合っては損で、証人をつれて警官にきいてもらうという方が有利です。つまりは、事故係の老獪なペースにまきこまれないことです。いいまけそうなときは沈黙して警官を呼び警官だけを相手にするのです。
かけつけた警官は現場の状況をきくことでしょう。明らかにスリップの跡があれば、当事者の説明よりは、その跡を重視するのが普通です。
ところで被害者の救護や自動車の波のために、現場保存はなかなかできないもの
です。この点が非常に微妙なところで、自分に不利な証拠はこの移動を利用して消すこともできるというものです。
ですから、こちらに有利な証拠となるようなことは、たとえ移動したりしても、はっきりとわかるように、その場で相手方に認めさせて、白墨の印しでもつけておくというくらいの周到さが必要です。
ずる賢い、馴れた運転手は安全交通を理由に、たくみに不利な証拠を消してしまうものですから、注意してください。
実際に、証拠さえないと、どうにでもいい逃がれるような状況が多いということを知るべきです。
警官がやってくる場合としては、スピード違反、信号無視、一時停止違反などの法規違反のとき、人を傷害したり、車の接触などのとき、非常線など特別の場合、
いずれの場合でも大切なことは、なんのために停止させられたか、または訊問されるかを知ることです。
もしも事故のために停止させられたものだったら「すみません」といきなり免許証を提出するとは、決してよい方法とはいえません。それは罪を自認するようなものだからです。はっきりとその理由を聞くのです。
つぎには、その事故が、いかにやむを得ないものであったかを、あなたは極力、主張するのです。
たとえばひき逃げでも、ひいたことを知らなかったときは、道交法違反としては処罰されません。
ですから、ひき逃げの嫌疑を受けて取調べを受けた場合に、ひいたことを知らなかったときには、その事実を警官に訴えることは、もっとも大切なことです。
とはいうのの、犬猫のひき逃げならいざ知らず、人間をひいたときには、かなりのショックがあるはずですから全然知らなかったでは通りません。
こんな時にまで、知らぬ存ぜぬでとぼけたのでは、かえって警官の心証を悪くするでしょう。
だからといって、やたらに高姿勢で警官に喰ってかかるのは、感心しません。どんな場合でも、まじめな態度でこちらのいい分を主張することです。
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