強制執行で取立てるにはどうするか
判決が下りたのに、確定した金額を支払ってくれませんので、相手方の財産を差押えてでも、回収をはかりたいと思っているのですが、差押えをするにはいろいろとめんどうな手続きが必要なようですが、どうすればよいのでしょうか。
現実の執行(差押え)をするためには、その執行を可能とする公文書が必要です。自力執行(自分で勝手に相手方のところへ乗り込んで、財産を差し押えること)は、現在では、禁じられているばかりでなく、度が過ぎれば強盗罪になりかねません。この公文書が、法律上(債務名義)と呼ばれているものです。
債務名義には、確定した判決、調停調書、和解調書、公正証書(以上が本執行の債務名義)のほか、仮差押決定、仮執行宣言つき判決(これが仮執行の債務名義)などがあります。
この債務名義を得るためには、まず、それらの公文書が相手方の手もとに届いていることの証明(送達証明。ただし仮執行の場合は不必要)にもとづいて、執行文(強制執行してよいという文句)が付与されなければなりません(仮執行の場合は不要)。この手続きは、執行文付与申請手続きと呼ばれています。
この条件を完備した債務名義を持つ債権者は、執行吏役場に、強制執行を委任します。現実の強制執行には、不動産(船舶)の強制執行、動産の強制執行債権の強制執行などがあります。
不動産の強制執行の場合は、相手方の有する土地、家屋の差押えですが、これには、相手方が「これこれの土地、家屋を持っているらしい」といった程度の調査では足りません。少なくとも、登記簿謄本をとり寄せてみて、その登記に記載されているとおりの表示を明確にして、差押えを依頼しなければならないのです。もっとも、なかには、末登記の建物もありますが、この場合には、職権で保存登記をさせて、差押えをすることになります。
動産の強制執行の場合には、相手方が、どんな動産(家財道具や、所持品)を所有しているかは、債権者には全くわかりませんから、このときは、相手方の財産確定は不要です。
債権の強制執行の場合も、差し押える債権は、確定されなければなりません。たとえば、「債務者甲が、第三債務者乙から毎月支払いを受ける給料債権」というように、少なくとも、差押債権が特定できる範囲の調査は必要なわけです。
執行を委任された執行吏は、委任の趣旨にもとづいて、それぞれの相手方の財産を差し押えます。
差し押えられた財産は、仮執行の場合を除き、競売に付されて、現金に換えられ、債権者に配当されることになります。
しかし、これは、きわめて、強制執行がスムーズに完結された場合の話で、現実には、いろいろの障害が、その途中において予想されます。
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