示談の交渉を弁護士に頼みたいとき

私の五歳になる息子が、幼稚園の帰りに車にはねられて、亡くなりました。加害者側は葬式の時にきて、香典五万円をおいて行っただけで、あとはさっぱり梨のつぶてです。とても私の手におえないので、弁護士を頼もうと思います。ただ弁護士を頼むとずいぶん金を取られると聞きますが、はたしてどうなのでしょうか。また良い弁護士をさがすにはどうしたらよいでしょうか。

 まず自分の親戚縁者、友人知人、会社の上役などの中に、弁護士を利用したことのある人をさがします。もしいたら、その人に紹介してもらうとよいでしょう。きっとその人は、どの弁護士が信頼できるか、報酬はどのくらいか、その他いろいろ自分の経験に基づいて教えてくれると思います。
 そんな人もいない、といって、弁護士の看板を見て飛び込むのも、電話帳を操って自分の住所に最も近い弁護士を訪れるというのも、どうも不安です。
 そんなときには、交通事故の法律相談所を利用することです。まず法律相談所を訪れ、担当の弁護士に、かかえている交通事故の問題を話します。その弁護士が納得のいく回答をしてくれたり、また回答のときの態度その他を観察して、これは信頼できそうだと思ったならば、その弁護士の名刺をもらいます。そして、後日その弁護士の事務所を訪問して正式に依頼したらよいでしよう。

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もし、担当の弁護士が信頼できそうに思えなかったら、また後日あらためて、その法律相談所を訪れます。通常、何人もの弁護士が交代で担当しておりますから、別の弁護士にめぐり会えます。あるいは、別の法律相談所を訪れるのも一つの方法です。そのうち、きっと信頼できる弁護士が見つかると思います。
 弁護士を選ぶときは、すぐ動いてくれる人、依頼者の言い分をよく聞いてくれる人、よく勉強している人を選ぶことです。
 つぎに弁護士の報酬ですが、これは着手金と成功報酬とから成り立っています。着手金というのは、事件を依頼したとき、つまり最初に支払うお金です。成功報酬というのは、依頼の目的を達したとき、つまり事件が解決したとき支払うお金です。
 弁護士の報酬には、一律の値段がないので、弁護士によってかなり差があるのが事実です。ただ、交通事故の損害賠償の請求事件については、弁護士会で、着手金は、加害者に請求する金額の五パーセント、成功報酬は、加害者から取立てた金額、または示談、和解、調停、判決で認められた金額の一〇パーセントを基準にしようという申し合わせを作っています。
 成功報酬は加害者側から賠償金をもらった後で支払うことになりますので、特別ふところは痛みません。しかし着手金は最初に支払わなければなりません。交通事故にあって、そうでなくとも金がかかって仕方のないときに弁護士に着手金を支払うことは辛いことです。
 そんなときにはこうしたらどうでしょうか。まず弁護士に強制保険の保険金請求の手続きをとってもらいます。そして保険金がおりたら、その中から着手金を支払い、事件について示談なり、訴訟なりの手続きを進めてもらいます。保険金請求手続きを頼む際の手数料は、わずかな金額で済みます。こうすれば、金がなくとも弁護士を額めます。
 さらにもう一歩進めて、着手金を支払う時期を事件解決時まで延ばしもらうよう弁護士に頼んでみることです。つまり着手金は、事件が終わって加害者からお金がとれたときに、成功報酬と同時に支払うわけです。この場合には、手続きに要する実費だけは初めに支払う必要があります。
 もう一つ別の方法は、法律扶助協会を利用することです。法律扶助協会は、金がなくて困っている人に対し、裁判費用や弁護士費用を立て替えて、弁護士をつけてくれます。法律扶助協会は、各都道府県の弁護士会のあるところにあります。

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