示談屋に騙されたときの告訴はどうするのか

私は示談金を間にはいった示談屋にとられてしまい、事故による傷の治療費にもこと欠く状態です。こんな示談屋は許せないので、告訴をしようと思いますが、私は法律のことはなにもわかりません、どうしたらよいのでしょうか。

 不幸にして示談屋にひっかかり、示談屋が加害者から取ってきた金の全部または一部を払ってくれないときには、あなたのほうでも対策をとらなければなりません。あなたはまずそれを業務上横領罪で最寄りの警察署に告訴すること、が先決です。
 「業務上自己の占有する他人の物を横領した者」は、業務上横領罪として一〇年以下の懲役に処せられることになっています。法律に違反した業務でもやはり刑法にいう業務にはいります。
 また、最初からの状況を考えて、その示談屋は、最初から示談金の一部か全部を横領する気だったんだなと思われるときは、ひと思いに詐欺罪で告訴してもよいでしょう。これもまた、一〇年以下の懲役です。

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それと同時に、弁護士法違反の罪もいっしょに告訴することです。これは弁護士でない者が弁護士の仕事をやったという罪で、懲役または罰金に処せられます。
 警察も示談屋取締りに熱を入れているところですから、熱心に取調べをしてくれるでしょう。
 ただ、今の裁判制度は、証拠裁判主義といって、証拠がなければ処罰されない仕組みになっています。ですからたとえば加害者が示談屋に金を渡したというときに受領証や預り証をとっておかなかった場合、いざというときに、示談屋から自分は金など預かったおぼえがないなどど開き直られれば、水かけ論になるおそれもあります。
 ですから、これは、交通事故の場合の話だけに限ったことではないですが、人に金とか印鑑とかを預けたり、また大事な物を渡したりするときは、必ず預り証か受領証をとっておくこと、そしてまた、あやしいと思ったら、後日のために備えて、毎日の経過を詳しいメモにとったり、あるいは他人を立ち合わせた上で話をする、そういう普段の心がけが大事です。
 そこまでやっておけば、あとで示談屋がしらを切ったときでも、そのときのメモも証拠になりますし、また証人も立てられるわけです。
 それから、自分で警察に告訴する手続きが大へんだという人は、最寄りの弁護士会の「非弁護士取締委員会」というところにかけこんで下さい。
 これは、事件屋や示談屋を退治することを専門にしている弁護士会の委員会ですから、大いに乗り気になって、あなたの味方 をしてくれるでしょう。

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