交通事故の示談交渉前に必要な書類

私は息子の運転する車に乗って親戚に行く途中、居眠り運転の車が突然センターラインを越えてきたため、避けきれず、正面衝突となりました。私は頭部打撲、左腕骨 折などの傷害でしたが、息子は即死しました。私の職業はレストランの経営で、息子は教員でした。加害者は任意保険に加入しているとのことです。これから示談の交渉をしようと思いますが、どんな書類を用意しておいたらよいでしょうか。

 示談交渉に入る前に、つぎの書類をぜひ用意しておくことが必要です。
 (1) 事故証明書
 いつ、どこで、どんな事故があったかを警察で証明してくれる書面のことです。交通事故が起こったとき、加害者は必ず警察に届けなければいけないことになっています。しかし、被害者側も、加害者にまかせたままにせず、必ず届けてください。警察に届けておかないと、あとになって警察は事故証明書を書いてくれません。事故証明書がないと、強制保険や任意保険の請求ができません。場合によっては、事故があったこと自体を証明することができなくなります。

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(2) 領収証
 交通事故にあうと、種々な出費があります。治療費、入院費、付添人費用、入院諸雑費(日用雑貨品費、栄養補給費、通信費、交通費など)葬儀関係費など。こういう費用は必ず記載しておき、領収証はできるだけ取っておきます。これは損害賠償額を決める基礎資料となります。
 (3) 収入の証明書
 負傷した場合には、休業補償を、死亡したり、後遺障害があった場合には、逸失利益(その事故がなかったならば、将来得られたであろう利益)を加害者側に請求できます。その際、いくら損害があったのかを被害者側で証明しなければなりません。そのために、被害者の収入の証明書が必要なのです。
 被害者が、公務員やサラリーマンの場合は、勤務先の給与証明か源泉徴収票を用意してください。これにより、収入の証明をします。勤務先の会社が小さく、源泉徴収票の記載が怪しいと疑われるようなときには、納説証明書も必要となります。
 なお公務員や大企業のサラリーマンの場合、俸給表や賃金基準表によって、将来の定期昇給分をも証明できますから、これも用意しておくとよいでしょう。
 自営商工業者や、医者、作家などの自由業者の場合、その人の収入は、前年度の所得税の確定申告のときの年間所得額を基準とします。そのため、納税証明書や確定申告書の写しなどが、必要となります。実際の収入が、申告額より多い場合には、商業帳簿類、取引先の証明書、貯金通帳、保険の掛金の領収証、その他あらゆる書類を総動員して、収入を証明するほかありません。
 農業者の場合、税務署に各地の各作物別の一アール当たりの所得高をきめた農業所得基準表がありますので、それを利用するとよいでしょう。
 (4) 診断書と診療報酬明細書
 診断書は、傷害の内容を記載した書面です。診療報酬明細書は、治療内容の明細書で、入院日数、通院日数、どんな薬を使いどんな注射をしたか、ほかに治療費、入院 費が詳細に書いてあります。傷害の慰謝料を算定するのに、この二通の書類は絶対必要です。いずれも医者からもらいます。
 (5) 戸籍謄本
 被害者が死亡した場合は、被害者の相続人が加害者に対し損害の賠償を請求できます。加害者と示談する際、自分が本当に被害者の相続人であるということを証明するために、死亡した被害者の除籍謄本と相続人の戸籍謄本が必要となります。

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