搭乗者傷害保険の保険金の算出方法

運転者傷害保険、搭乗者傷害保険の保険金は、運転者傷害危険担保特約条項5条、搭乗者傷害危険担保特約条項6条を受けて定められた保険金支払規定によって計算さ れます。
 被保険者が被害の日から180日以内にその傷害によって死亡したとき保険金全額が被保険者の相続人に支払われます。1契約の死亡保険金が50万円をこえる保険金を相続人に支払った場合は、支払いを行なった保険会社が、その営業所を管轄する税務署長に「損害(死亡)保険金受取人別支払調書」を提出することが義務づけられています。
 搭乗者傷害の場合の保険金額は、保険証券記載の保険金額を自動車の乗車定員数で除した金額、ただし、受傷者数が定員をオーバーしていたときは、受傷者数で除した金額であると規定されていました。

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保険金支払規定には「不具廃疾保険金」と記載されていましたが、ここではあえて「後遺障害保険金」という用語を行います。
 被保険者が被害の日から180日以内に身体の一部を失い、その機能を廃したときは、支払規定2条の区分にしたがって保険金が支払われます。なお、同条に掲げられていない後遺障害については、同条の区分に準じ、その程度に応じて保険金額の50%以内で保険金を決定します。
 後遺障害にはいろいろな区分、程度があり、その障害度を判定することは難しいことですが、実務上は、労働基準法施行規則「身体障害等級表」を参考にして妥当な額をきめます。
 後遺障害が2種以上ある場合は、それぞれの保険金を算出し合算します。180日をこえてもなお症状が固定せず治療を継続するときは、その前日の医師の診断により保険金を算定します。
 「死亡保険金」については、死亡診断書または死体検案書により死亡の事実・原因・日時を裏づけ、除籍謄本および相続人の戸籍抄本または住民票により相続人を確認します。相続人が多数いる場合には、代表して保険金を受け取る者に対する他の相続人の委任状、相続人が未成年者であるときは、親権者の念書などにより正当な権利者に保険金を支払います。
 「後遺障害保険金(不具廃疾保険金)」については、障害の内容・程度、労災障害等級などを記載した医師の診断書を必要とします。
 「医療保険金」を請求するためには、医師の診断書、柔道整復師の場合は施術証明書(保険会社所定の用紙を使えば必要事項がもれなく記載されます)、休業の事実を証明するための勤務先の欠勤証明書、治療日数を裏づけるための医師の診寮費明細書、通院証明書が必要です。
 そして、いずれの場合でも、保険会社所定の保険金請求書、保険証券、警察の交通事故証明(被保険者が保険の目的となっている自動車を運転・搭乗していたこと、契約の担保条項・免責条項に該当の有無も確認できます)、保険金領収証、委任状、印鑑証明書などの書類が必要です。これらの書類は、同一事故の車両・賠償保険金請求と重複して請求する場合には省略して差し支えありません。
 以上の書類が保険会社に提出されますと、保険会社は、事故や損害の調査を行ない、前述のとおり保険金を計算して支払うことになります。
 「搭乗者傷害保険金」については、特約条項第9条により、保険会社への保険金請求はすべて保険契約者を経由して行なわねばなりません。すなわち多数の搭乗者ある場合、受傷したそれぞれの搭乗者が被保険者としてあるいはその相続人が、個々に直接に保険会社へ請求することは認められません。
 また、同一保険証券ですでに保険金を支払っている場合、保険金額は契約当初の金額から支払った保険金を差し引いた残額がその後の保険金額となりますが、しかし、医療保険金・後退障害保険金の算定の基礎となる保険金額は、すでに支払った保険金の有無にかかわらず、契約当初の保険金額とする旨、被保険者に有利な取扱いをしています。
 ただし、医療保険金と後退障害保険金とを合算すると、残存保険金額をこえる場合には、その残存保険金額を限度として保険金が支払われます。

対物賠償保険金が支払われる事故/ 対人賠償保険金の支払われる事故/ 賠償保険の対象者/ どのような場合に賠償保険金を支払ってもらえないか/ 他人から預かっているものを破損した場合の賠償保険/ 記名被保険者に対する賠償保険/ 従業員の自動車事故による負傷に対する賠償責任/ 自動車事故によって同居親族に傷害を与えた場合/ 相手の車の格落ち損害も賠償保険の対象になるか/ 相手の車の休車損害や代替車費用も賠償保険の対象になるか/ 相手の車にも不注意のある場合の賠償金の支払/ 相手車との衝突で第三者の物件を損壊した場合の賠償責任/ 争訟費用も賠償保険の対象となるか/ 対人賠償保険で支払われる損害の範囲/ 好意同乗者に対する保険の適用と共同不法行為の決済方法/ 過失相殺される場合の自賠責保険と任意賠償保険との関係/ 搭乗者傷害保険金が支払われる事故/ 搭乗者傷害保険の保険金の算出方法/ 搭乗者傷害保険金の支払われない場合/ 搭乗者傷害保険を貰った時は賠償請求金額を減額されるか/ 事故が発生した場合の一般的義務/ 事故が発生した場合の各担保種目別の当面の処置/ 示談の前には保険会社の承認が必要/ 交通事故の示談書の内容/ 保険金の支払い請求権者/ 交通事故被害者が直接保険金を請求する場合/ 示談の前の保険金の支払/ 交通事故を対象とする傷害保険の種類/ 傷害保険でいう身体の傷害/ 交通事故傷害保険の対象となる事故/ 死亡保険金の支払われる場合/ 後遺障害保険金/ 医療保険金/ 傷害保険を申込むときの問題点/ 傷害保険が重複した場合の処理/ 傷害保険金が支払われない場合/ 第三者から賠償金を受領した場合の傷害保険金/ 傷害保険の請求手続き/ 生命保険と傷害保険/ 労災保険/ 通勤途中の電車での事故/ 出張の帰路の際に知人の車に便乗している間の事故/ 従業員の慰安旅行中の事故/ 労働者の重大な過失による災害も労災保険の対象となるか/ 第三者行為災害の意義/ 労働保険の給付と損害賠償や自賠責保険との関係/ 労災保険給付にあたっての加害者からの賠償の控除/ 求償や控除の範囲/ 同僚労働者の加害の場合に求償権を行使しない場合/ 示談と労災保険給付の関係/

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