示談の履行の仕方
示談が成立しても履行しなくては意味がありません。示談書ができたからといって、横着をしますと刑事裁判だけではなく民事裁判でも不利益なことになります。誠意
ある履行をすることです。約束は真面目に守りましょう。
さて、示談は成立したというだけでは意味がありません。約束した以上、約束にしたがって支払いを履行していかなければなりません。示談しても、刑事裁判が終わってしまうと履行しないものもでてきますし、刑務所にはいってしまうといっさいが帳消しになったような顔をするものもでてきます。しかし、世間はそうあまいものではありません。誠実に履行しないと、種々の不利益を受け、たいへんなことになってきます。
近年の刑事公判では、示談書が提出されただけでは、必ずしも終わりになりません。検察官が、改めて被害者に示談成立の有無を確認し、履行がなされているかどうか、被害者の感情がどうなっているかを、調査したり照会しています。その結果、示談書をもらうまでは何回もあやまりにきたのに、示談書ができてからは一回もこないし、一銭も払ってくれないから厳罰にしてくれという、被害者からの報告がでることもあります。また、強引にむりやり示談させられて、不服であるとの回答がなされたこともあります。こうなると、どんなに優秀な弁護士がついても、あるいはりっぱな示談書ができていても、かえって自分で首を絞めるようなことになってしまいます。
もともと、示談は、刑事裁判を有利にするためにするものではなく、被害者に対し謝罪し、損害の賠償をなすことが目的であり、その結果、刑事裁判に影響してくるものなのですから、この点を十分に考えて、被害者に対しては、約束どおりの履行をしていかなければならないわけです。
なお、履行の有無や状況の調査は、刑事裁判終了後も、仮釈放の資料として調査されることもあります。また、つぎに事件を起こしたときにも、前回の事件に誠意をつくしたか否かが調査されることもあります。その場かぎりのことはつつしまないといけないわけです。
民事裁判の面から示談を考えますと、契約ですから、履行がなされませんと、所有にかかる不動産や家具などの動産を競売され処分されてしまうことになります。とくに公正証書ができていますと、裁判などの手続きをふまずに、即時に強制執行がなされ競売が行なわれることがあります。したがって、示談をしておきながら、その履行を怠りますと、刑事、民事両面の不利益をこうむることとなります。
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