拘束されている人への面会や差入
家族や友人が逮捕されたときに、面会や差入れはどうしたらよいでしょうか。食事はどうなっているのでしょうか。下着類はどうするのでしょうか。警察と拘置所とではどのようにちがうのでしょうか。
逮捕勾留されている人は、警察の留置房や拘置所に留置されます。交通事故を起こした人の多くは、留置されること自体初めての経験であり、捕われの身として、心細い不安な気持にさいなまされます。また家族としても、日常のこと、仕事のこと、将来のことについて、ぜひ会って話をしたいことと思います。面会や差入れは、双方にとって、励ましであり、支えになるものです。そこで、この方法を述べましょう。
特殊なケースを除いて、警察署に身柄が留置されているときは、取調主任官に会って、本人との面会や差入れの許可をもらいます。取調中を除いては、逮捕後四目目以降は比較的自由に面会を許してもらえます。面会には警察官が必ず立会い、事件そのものについては話をしないよう注意されます。時間は一〇分平均で、拘束期間が経過するにつれて、許可される時間は長くなるのがふつうです。ですから、面会の前に、話題とすべき要点をとりまとめてメモをしておいて、短時間に、要領よく聞くように準備しておくことです。
手錠をかけられて、やつれた夫の姿に、すっかり興奮してしまい、泣くだけで時間がすぎてしまった例も見聞します。泣くことは、拘束されている者にとっては大きなショックで、絶対に禁物なことです。
警察での差入品として、下着類はとりまとめて警察官にわたしますと、交換してくれます。ちり紙や洗面具は、逮捕時にすぐ差し入れてやりたいものです。食事は、警察署長の指定を受けた業者の、特定の食事のみが差し入れられることになります。すしとかそばなどの特別の食品は、許可がない限り許されておりません。果物や菓子類は、家旅が持参しても房のなかでは食べられませんが、警察官が許可した場合は、特定の場所で食べることが許されるようです。
現金などの差入れや、本人がその現金を使用して物品を購入することは、警察署によって異なり、なかなか認めていないところが多いようです。本人に持病があったり、日常薬を常用していた場合でも、薬品類の差入れは許されておりません。警察医の診断により、警察医の処方せんによる以外には、薬品を本人が服用することは許されていません。
つぎに拘置所での面会ですが、拘置所では、休日を除いて午前八時半から三時までの間に、一五分間ぐらいの面会が許されます。この場合も、看守が立ち会って面会内容を筆記します。したがって、秘密を要することや時間のかかることは、立会いもなく時間の制約もない弁護士の面会に頼るよりほかはないことになります。弁護士には、防禦を尽くして公判闘争を展開するために、秘密交通権が与えられているからです。
なお、一般人の面会の場合、面会票に記載し、これを係に提出して面会の順番を持つことになり、だいぶ持たされますので、早目に申出なければなりません。
拘置所での差入れは、警察署よりはやや厳格で、うるさくなります。食事は指定業者の指定食品のみで、家族の持入れはできなくなります。果物、菓子などの差入れはできなくなり、本人が拘置所内の係官に購入順を前もって提出し、係官の手を経て購入することになります。購入品も、牛乳、バナナ、ミカン、パンなど一定のものに限定されています。
そこで、被疑者には、ある程度の金銭を差し入れておいたほうがよいようです。下着類の交換は、警察署の場合とあまり変わりはないようです。
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