検察官の取調べのポイント

警察での取調べが終わると、事件は検察庁に送検されます。検察官の取調べは警察官の調べとはどういう点が違うのでしょうか。また、どんな点に気をつけて検察官の取調べに対処したらよいのでしょうか。
 検察官は、法律の専門家として、警察官から送致を受けた事件を取り調べて送致事件の処分決定をします。またみずから直接事件を立件して、その処分決定もいたします。そうして、公訴提起後は、公判の維持遂行を担当し、裁判確定後は刑の執行の指揮にあたります。社会生活の秩序と安定の維持者として、また社会正義実現の遂行者としての役割を担当するものです。
 検察官の権限のうち、大きいものに、処分決定権があります。起訴にするか不起訴にするかの選択権がこれです。起訴事件についても、略式命令等の簡易の手続きにより罰金などの軽い処罰にするか、公判請求の事件として懲役刑か禁錮刑にするかなどの選択や、裁判所に対し求刑をする権限があります。検察官は検察官一体の原則があって、処分の公平、厳格性が支配します。これによって、同種の事件については、ほぼ処分の同一性が担保されています。

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検察官の取調べは、検察官がみずから事件を立件して直接事件の捜査をするのは例外で、多くは警察官から送致を受けた事件について、法律的観点から、あるいは捜査の手落ち部分など不備な点の補完的捜査が中心になります。
 したがって、先に述べた警察官の取調べが重点となり、実況見分調書、供述調書を前提としたうえでの調べが行なわれます。そこで、どうしても警察官の調べの結果に支配され、被疑者 はなかなか自分の思うとおりの供述を採用してもらえないおそれがあります。場合によっては、被疑者本人の供述を、もう一回間くだけで、その他の証拠はまったく調べずに、警察官の資料のみで、処分を決定することかあります。ですから、警察官の調べの段階が重要なことがおわかりのことと思います。
 そこで、検察官の調べに対する重点は、まず警察官の調べのうち、自己の供述と違う点、不備と思う点をはっきりと指摘すること。できれば、その裏付となる資料を準備しておくこと、たとえば現場の写真、目撃者などの上申書などです。
 次に検察官は処分権者ですから、情状の資料となる示談書、領収証、その他参考となる資料を用意して、検察官の判断に有利に影響するように、調べの際に提出したいものです。そうすることによって、ケースにもよりますが場合によっては死亡事故でも罰金刑ですむ場合もありますし、また公判請求になっても短期間の体刑ですむこともあります。

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