責任共済

自動車は、自動車損害賠償責任保険をつけているものでなければ、これを運行の用に供することはできません。しかし、従来も、いわゆる適用除外車および自家保障の 車は、その例外とされてきました。この責任共済も、これらと同じく責任保険をかけなくても自動車を運行の用に供することができる第三の例外として、昭和四一年法律九〇号「自動車損害賠償保除法の一部を改正する法律」によって新設され、同年六月二九日に公布施行されたものです。詳細は、自賠法第三章の二に規定されています。
この規定によって、農業協同組合および農業協同組合連合会は、自動車損害賠償責任共済の事業をすることが認められ、責任共済の契約が結ばれている車は、責任保険をつけていなくても、これを運行の用に供することができるようになったのです。
しかし、責任共済の対象とされる自動車は、軽自動車、原動機付自転車 、農業協同組合法に基づく法人(農業協同組合・農業協同組合連合会・農事組合法人・農業協同組合中央会)が保有者である自動車(会車種)に限定されます。
このように責任共済の契約がなされた自動車が人身事故を起こした場合、被共済者は、被害者に対する損害賠償額について自己が支払をした限度において、組合に対して共済金の支払を請求することができますし、被害者もまた、組合に対して共済金額の限度において損害賠償順の支払をするよう請求することができるわけです。

スポンサーリンク

そこで、責任共済を契約しようとする者は、共済者である組合に行き、申込書に必要事項を書き、記名押印して窓口に差し出し、所定の共済掛金を支払います。わからないときは、組合で教えてくれますし、新車購入の場合は販売会社等で手続の一切をしてくれるのが普通のようです。
この共済責任は、責任保険と同じようなものですから、すべて責任保険契約に関する規定が準用されています。この場合、責任保険を責任共済、保険金額を共済金額、保険会社を組合、保険契約者を共済契約者、被保険者を被共済者、保険金を共済金、保険期間を共済期間、保険料を共済金額と読み替えればよいのです。
そこで、共済金額も、責任保険の保険金額と全く同一ですし、請求の手続も強制保険金をとる場合と同じです。仮渡金の金額やその請求方法も変わりありません。
責任共済制度を定めた以上、その励行と実効の確保を図る必要があります。そこで、法律は、自動車損害賠償責任共済証明書の備付けおよび共済標章の表示を、運行の用に供する自動車等に義務づけました。この責任共済証明書や共済標章は、組合から共済契約者に交付されますから、自動車を運行の用に供するときは、必ずこれらを車に備付けまたは表示するように注意しましょう。これに違反しますと、罰金に処せられます。
つぎに、責任共済証明書の記載事項について変更があったときは、直ちに組合に申し出て、その変更について記入してもらわなければなりません。また、責任共済証明書や共済標章が、滅失、損傷したり、その識別が困難となったときは、組合に対して、その再交付を求めることができます。

交通事故での業務上の意味/ 自転車による事故の刑事責任/ 運転手の過失の認定/ 交通事故の被害者側の責任/ 同乗者の過失による事故/ 信頼の原則と危険の負担/ 交通事故の因果関係/ 過労による居眠り運転の事故/ 緊急避難での事故/ 会社から強制された疲労運転による事故/ 無免許運転の幇助と教唆/ 交通事故の捜査/ 交通事故を起こして逮捕された場合の措置/ 事故や交通違反の取調べに対する心構え/ 交通事件での黙秘権と供述拒否権/ 示談書の刑事的効果/ 不起訴処分に不服のあるとき/ 刑事裁判の手続き/ 刑事裁判を受けるときの準備/ 調書の否認/ 交通事故の証人、参考人の出頭/ 即決裁判と略式裁判/ 略式命令と不服申立/ 判決に不服のあるとき/ 刑の執行/ 執行猶予/ 再審/ 同一事件について二重に処罰されたとき/ 故意犯と過失犯/ ひき逃げになる場合/ 警察官の交通取締り/ 交通切符/ 運転免許の取消しと停止/ 運転手の雇用者の処罰/ 無免許者に運転させた雇主の刑事責任/ 好意運送による事故/ 責任共済/ 自動車保険約款の免責事項/

       copyrght(c).道路と交通の豆知識.all rights reserved

スポンサーリンク