保険契約時の注意事項

保険契約を結ぶとき、どのような点に注意したらよいかという、保険契約者にとっての一般的注意事項を掲げてみましょう。
 付保の目的と必要性を知ること。保険をつけるには、ただムヤミにつけるというのではなく、まず、何のために、あるいはどのような必要のために、そして、どの程度の保険金額をつけるのかをよく検討しなければなりません。
 保険契約者にとって最も大切なことは、保険というものは、将来起こる可能性のある大きな損害を目安にしてつけるということです。どういう場合に、何を担保してくれるのかも知らないで、保険に入っても、イザという場合、あなたの思惑は外れてしまうでしょう。よくわからないときは、あなたの立場や自動車の用途ね使用方法などを、保険会社または代理店にしっくり相談してみることです。
 各保険の特質と約款の内容を知ること。世間には、自分のかける保険の内容がどういうものであるか、また、どのような場合に保険金が支払われ、あるいは支払われないかなどについて何の知識もなく漠然と保険をかけている人が少なくありません。
 もちろん、保険をかけるのは、万一の事故のあった場合に、その損害をてん補してもらうためのものです。せっかく保険をかけだのに、保険金が支払われなかったため、身を減したり、会社をすい微させたりするようなこともあります。
 もっとも、保険約款を読めといわれても、素人にとってはこむずかしく、しかも小さな字で印刷されていて、読む気にもなれないでしょう。保険約款は、読まれないベストセラーといわれるぐらいです。しかし、一旦保険会社と保険契約を交しますと、それを読んでいないから知らなかったということは理由になりません。
 なぜかといいますと、普通保険約款は、保険者(保険会社)が予め主務官庁の認可を受けていますから、特に反証のない限り、契約当事者はこれを了知し、それによって契約したものと推定されるからです。いうまでもなく、保険会社は大規模に経営されていますから、保険事業にあたって多数の保険契約者と契約を締結するごとに、保険内容をいちいち全部説明して相手方に了知させるということは事実上不可能なのです。つまり、保険契約者が保険契約の内容を詳細に熟知していなくても、合理的約款に対しては包括的承認をしている契約(いわゆる附合契約)であるとされてしまうのです。
 したがって、保険契約者は、保険の特質や保険約款について、一通りの知識をもっていなければなりません。特に、その保険の負担する危険、免責事由、保険金支払い額の算出方法、通知・告知義務等について、はっきり知っておく必要があります。

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保険は、その種目によってそれぞれ特色があり、約款の内容にも相違があります。
したがって、前述の一般的注意事項以外の必要な事項について具体的に列挙してみましょう。
 自賠責保険(強制保険)強制保険ですから、適用除外車・自家保障車・責任共済車等を除き、必ずつけなければなりません。もしこの保険をつけないで自動車を運行の用に供しますと処罰されますから注意してください。
 軽自動車・原動機付自転車は、強制保険に代わり、責任共済の契約を結ぶことができますから、農業協同組合に申込みをすれば足ります。
 任意保険の対人賠償保険にも加入する方は、同じ保険会社に付保されるのが便利でしょう。
 車両保険。機械装置や付属品の付保の範囲および金額を明確にします。超過保険・一部保険とならないよう、合理的に時価いっぱいに付保します。
 車種・用途・用法などから、保険料の割引がきかないかどうかを確かめます。必要に応じ、盗難担保・天災担保・免責減少・総合契約割引などを利用します。
 対人賠償保険。保険金額は、一般には契約者の地位・職業・年齢・資産や保有車両の車種・用途・価格などによって決めているようですが、むしろ判例や示談の実例を参考にして死亡事故のばあいの損害賠償金(いわゆる相場)を中心にして考えるべきでしょう。現今は、高額賠償契約時代といわれていますので、最近この保険金額も急騰の情勢にあります。特に外人を常時乗車させるような人は、1億円ないし2億円もかける人もいるということです。運転者自身や同居の親族を被保険者としたい場合には、別個に搭乗者傷害危険担保特約を結ばなければなりません。
 対物賠償保険。この保険事故の対象は千差万別で、損害の算定も多岐多様にわたりますから、その範囲、内容について予め保険会社から説明を受けておくとよいでしょう。
この保険では、いわゆる特別損害(予見しまたは予見できたと認められる特別事情による損害)・消極的損害(いわゆる 逸失利益のことで、たとえば休業損・休車損など)・代替車両・人件費・格落ち損害などが制限的ながらもその対象と認められることがありますから、そのような損害のあったときは、保険会社に積極的に請求してみることです。

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