保険金と保険料
条保険金と保険料保険のかける種目を決めますと、つぎは保険金額を定め、保険料を支払わなければなりません。保険金額とは、保険会社の保険金支払の限度額を示すもので、契約金額または付保額ともよぼれ、保険料算定の基準となります。この保険金額は、あくまで保険金の支払限度額ですから、実際に発生した損害に対して保険会社から被保険者に支払われる保険金(てん補金)とは、必ずしも一致するというものではありません。損害が保険金額より低い場合には、その損害金しか払われませんし、損害が保険金額より高いときは、保険金額で打ち切られます。
また、車両保険の場合は無評価保険方式をとり、損害が生じた地および時における保険の目的の価額(時価)によっています。この保険の目的の価額(時価)を保険価額といいます。そして、保険金額と保険価額が等しい場合を全部保険といい、最も理想的で合理的な付保の方法です。保険金額が保険価額より低いときは一部保険といい、この場合全損のときは保険金額限度に抑さえられ、分損のときは比例てん補といって、保険金額と保険価額の割合(付保率)によって保険金が計算されることになります。また、逆に保険金額が保険価額より高いときは超過保険といい、保険金の支払いは時価となります。
このように、一部保険や超過保険は、被保険者の思惑とちがって十分のてん補を受けられませんから注意が肝心です。なお、日本では、強制保険、任意保険を問わず、事故の発生によって保険金が支払われても、保険金は自動的に当初の金額に回復し、何回事故があっても所定の保険金が支払われます。(ただし、車両保険にかぎり、一回の事故で支払い保険金が保険金額の5分の4を超えたときは、それで保険契約は終了し、復元しません。このことを自動復元制といいます。したがって、この場合には,保険金額を復活する手続もいりませんし、それに対する保険料の支払いも必要としません。
保険料とは、いわゆる掛け金のことで、保険契約をする際に保険契約者が保険会社に支払う料金です。
また、保険会社の保険責任は、保険証券記載の保険期間の初日の午後4時に始まり、その末日の午後4時に終わりますが、保険料を支払わない以前の損害は、たとえ保険期間の開始後であっても,保険金は支払われないことになっています。
保険契約の申込みにあたっては,申込書記載事項について、事実ありのままを保険会社に告知しなければなりません。これを告知義務といっています。
また、申込書、証券の記載事項に重要な変更を生ずるような事実が発生したり、危険の著しい増加や重複保険契約のあったような場合には、遅帯なく書面で保険会社に通知して、その承認裏書を求める必要があります。これを通知義務といい、告知義務や通知義務に違背しますと、契約を解除されたり、事故があっても保険金は支払われなくなります。
このほか、保険契約者や被保険者には、管理義務というのがあります。いわゆる担保規定で、保険の前提条件として、保険の目的を常に安全に運転できるように整備し、官庁の検査を受けることを義務づけています。つまり、自動車の堪走性または耐走性の保障を求めているわけです。
ところで、せっかく保険がかけてあるのに、保険金の支払われない場合があります。このように保険事故が発生しているのに、保険会社が保険金の支払いを免れることを免責といいます。強制保険の場合には、保険会社は、保険契約者または被保険者の悪意によって生じた損害についてのみてん補の貴を免れることになっています。たとえば、故意に人を殺傷する意思で自動車を運転したことによって発生した損害などは免責となります。任意の自動車保険については、数多くの免責条項があり、特に「酒酔い運転」のため免責となる場合が多いようですから、十分留意される必要がありましょう。
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