示談交渉する場合の注意(加害者側)

示談の交渉は、いつから始めたらよいかということは、実際上なかなか難しい問題です。事件の内容、相手方の状況によっていろいろな場合がありますから、ケース・バイ・ケースでいくよりほかなく、一概にはいえないでしょう。ただ、一般的には、つぎのようにいわれています。
被害者が死亡した場合。被害者が死亡した場合には、通常、仏事または見舞をかねて下交渉が行なわれ、その後相手方が少し落ちついた頃を見はからってするのが一般のようです。一ヵ月後ないし四九日忌前後の頃がもっとも示談に熟しているように思われます。
被害者が負傷した場合。加害者側からすれば、できるかぎり早いのが得策でしょうが、後遺障害または重傷の場合は、退院直前頃がもっとも示談のまとまりやすい時機です。軽傷の場合は、被害者の痛みが薄らぎ、大体普通の状態で指示できるようになった頃から全治前までの間がもっともよいといわれます。退院前とか全治前とかは、被害者にとっても希望が生まれて明るい気持になり、精神的にも落ちついた気持になれるからでしょう。
なお、重傷で長期間入院しているような場合は、とりあえず入院費、治療費などを負担しておきますと、その後の示談が比較的円滑にいく傾向があります。
物件事故の場合。この場合は、損害金が比較的に簡単に算出されますから、その損害の内容を確かめたうえ、相手方にも過失のある場合には、過失の度合いを協議して、話がまとまったら直ちに支払うようにします。
以上いずれの場合にも、大切なことは被害者側の身になって誠意をもってあたることでしょう。しかし、事故直後などで相手方がまだ興奮している間は、交渉の時機ではありません。また、当初相手方が高飛車に出てきて、損害よりほるかに高額な賠償金を要求してくる時期があるかも知れませんが、この段階も交渉の時期ではないようです。その場合、むやみに相手の非をなじったりせず、いちおううけたまわっておく程度にして、もう少し時機を待った方がよいでしょう。

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加害者側として、円満に示談で解決する方法として、一般にいわれている「コツ」としてはまず、辛抱すること。相手方からたとえ罵声を浴びせられても、がまんする必要があります。
誠意を示すこと。そのためには自己の非については率直に認め、できるかぎりお通夜や葬式に積極的に参列し、誠意を態度や行為をもって示さなければなりません。
相手の立場を理解すること。相手方はとにかく被害者ですから、当人でなければわからない悲しみや苦しみを味わっているはずです。相手方の身になってよく考える必要があります。
謝罪すること。たとえ相手方の一方的過失の場合でも、遺憾の意を表した方がよろしいようです。普通、相手方の一方的な過失と思っていても、よく調べると双方に過失があることが多いのです。
相手が冷静になるまで待つこと。事故直後は被害者側は興奮していますから、そのときに交渉を急いでも効果はあまりありません。
よい聞き手となること。ともかく相手方のいい分は全部聞いてみましょう。人間は、自分のことをよく聞いてもらえれば、それだけで、ある程度満足感を覚えるものです。
相手の感情を解きほぐすこと。最初は、被害者は誰でも非常に感情的になっていますから、まず、これをときほぐす点から出発しなければなりません。
被害者の同情を得ること。相手方から同情を得るようになれば、示談は必ずといっていいくらい円満にまとまります。それには何回も足を運び、誠意をもって事にあたるほか、共通の話題とか当方の家族事情などこまごまと訴えるなどして成功した例があります。
第三者の話を聞いてもらうこと。被害者が加害者の話を全然受けつけないような場合には、第三者、できうれば被害者から信頼を受けている人に頼んで、じっくり話し合ってもらうのも一法です。

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