交通事故での示談とは
示談とは、交通事故による損害賠償の問題を、当事者同士の話合いで解決することをいいます。もちろん、交通事故の損害賠償に限ったわけではなく、一般のお金の貸し借り、家屋からの立退き、夫婦の離婚騒ぎ、その他いろいろな事件の場合でも示談はあり得るのですが、ここでは交通事故に限定してお話します。ただ、肝心な点は、示談とは、民事問題、とくにお金の問題が大部分ですが、とにかく、私的な民事問題を解決することであって、刑事問題や交通反則金の問題を示談で解決することはできません。たとえば、被害者が加害者に同情してしまい、警察や検察庁に、この加害者を罰しないでくださいと申し立てたところで、警察等はそれをきいてくれるとはかぎりません。もし、法律的にみて処罰するにあたいすると考えたら、検察庁はこの加害者を裁判にかけてしまいます。ただ、示談ができていたり、被害者から嘆願書が検察庁に出されたりすると、相当大きな好影響を検察官や裁判官にあたえることは事実です。
スポンサーリンク民事問題(損害賠償の問題)にもどりますが、自動車事故の損害賠償の問題を裁判所(訴訟、調停)の手を通して解決しているのは、わずかにニパーセント弱です。裁判所の手をわずらわすような事故は、比較的大事故が多いとは思いますが、それにしても、一〇〇件の事故のうち。ニ件ぐらいしか裁判所の世話になっていないということは、逆いえば、自動車事故による損害賠償の問題は、大部分が当事者の話合いで解決されていることを意味しています。
もっとも、いわゆる泣寝入りになってしまったケースも、ひじょうに多いと推測されるのですが、とにかく、当事者の話合い、示談、というものが、現実にはこの社会を維持しているのです。
それほど示談というものは、重要な作用をいとなんでいるのですが、法律には示談という言葉はないのです。しかし、示談にあたるものとして、和解契約という言葉があります。民法六九五条によると、「和解は当事者が互に譲歩してその間に存在する争いを止めることを約するによりてその効力を生ずる」、となっています。
まさに、示談も、被害者と加害者とがお互いに譲歩して、ある妥協点をみつけ、そして争いを止める約束です。ですから、示談というより示談契約といったほうが正確な表現になると思います。
示談は示談契約であり、契約とは当事者の合意ができれば成立するものであって、その内容は当事者が自由にきめてよいのです。だから、示談内容は当事者が自由にきめられるし、その形式についても一定のきまった型があるわけではありません。
ついでに、裁判上の和解という言葉についてもふれておきますが、これは、裁判所で裁判官が当事者の中にはいって、話合いをすることであり、話合いが成立すると和解調書を作ってくれます。これは、裁判所でやる手続きであり、和解調書には判決と同じ効力(強制執行カ)があるので、民法上の和解契約とは性質が違います。
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