自動車保険契約の方式
一般自動車保険契約の対象となる自動車は、道路運送車両法二条二項および三項に規定される自動車および原動機付自転車とされています。すなわち四輪自動車をはじめ三輪、二輪、原付などすべての自動車が対象となります。
保険期間は通常一年間ですが、必要に応じ一年を上回る長期契約、一年未満の短期契約もあります。多くの場合は対人賠償責任保険から車両保険まで一括して保険に付ける(付保する)のですが、そのうち一、二種類を選択付保することも可能です。ただし自損事故保険は対人賠償責任保険に自動付帯されており、単独付保はできません。また搭乗者傷害保険も対人賠償責任保険、対物賠償責任保険、車両保険のいずれかとセットで付保することとなっており、単独付保はできません。
次に任意自動車保険は通常、自動車一台ごとに付保されますが、保険期間を一致させて一枚の保険証券で同時に敷台の自動車を付保することも可能です。また個人もしくは法人が自ら所有、使用する自動車か二〇台以上付保する場合は、その契約はフリート契約(一〇台未満はノンフリート契約)として扱われ、料率の決定方法などに特別な規定があります。
さらにフリート契約については所有、使用する全自動車につき、保険期間をそろえて一括付保する全車両一括付保特約方式もあり、保険期間の中途で取得した自動車が自動的に付保される仕祖みになっています。
なお、任意自動車保険契約も他の損害保険契約と同様、保険料は契約時に全額を一括支払うのが通常ですが、一定の条件をみたす場合には保険会社との特約により分割して支払うことも可能です。
ところで保険期間の途中で自動車を買い換えることはよくあるケースですが、この場合の保険上の手続きは次のいずれかの方法によります。
旧自動車の保険契約を中途解約し、新規取得自動車に新たに保険を付ける(旧自動車の譲渡に際して保険契約も同時に譲渡することも可能です)。
旧自動車の保険契約に対する裏書手続きにより、保険契約の対象を新規取得自動車に変更する。
ただし、この方法は原則として同一の用途、車種の自動車相互間に限られています。
自家用自動車保険契約の方式 一般自動車保険と異なり、次の七車種の自動車に限り対象とすることができます。
自家用普通乗用車、自家用小型乗用車、自家用軽四輪乗用車、自家用小型貨物車、自家用軽四輪貨物車、自家用三輪自動車、自家用軽三輪自動車。
また自家用自動車保険は、対人賠償責任保険から対物賠償責任保険までが基本契約として自動的に一括付保されることになっています。車両保険は付帯契約として任意に選択付保することになっており、また搭乗者傷害保険は基本契約の保険金額を上回る金額を増額付保することも可能です。その他の点については一般自動車保険契約と同じ取り扱いとなっています。
この保険が適用される借用自動車は自家用乗用車や自家用乗員兼用車など教程の自動車に限られており、運転免許証所持者一名ごとに付保します。この保険は対人賠償責任保険または対物賠償責任保険を基本とし、両方あるいはいずれか一方を付保することが可能です。自損事故保険は対人賠償責任保険に自動的に付帯しており、搭乗者傷害保険は対人賠償責任保険または対物賠償責任保険に付帯して付保することとなっており単独付保はできません。
自賠責保険契約の方式はいわゆる強制保険として道路運送車画法の自動車および原付自転車すべてが対象となりますが、原付自転車を除いて車両の登録または検査の際に保険証明書の提出を義務づけることによって強制の実を挙げています。したがって、保険期間は車検の期間に合わせることとなっており、たとえば二年車検の自家用乗用車では二四ヵ月もしくは二五カ月、一年車検の貨物車などでは一二ヵ月もしくは一三ヵ月とするのが通常です。
この保険は自動車一台ごとに付保され、証明書が発行される必要があり、任意自動車保険のように一枚の証明書で敷台を同時に付保することは認められていません。また保険料は申込と同時に全額支払われる必要があり、分割払いの制度はありません。
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