自動車保険の種類と損害

 一七七〇年フランスのN・キュニヨーが造った砲車を引っ張る三輪蒸気車が現在でも保存され、これが世界最初の自動車とされています。その前年にも同じものが造られ、まもなくレンガ塀に衝突してこわれてしまったそうですが、以来約二百年、自動車は偉大な文明の利器として発展を遂げましたが事故と無縁な存在とはなり得ませんでした。
 自動車が人の手によって走行する機械である以上、他の機械と同様、ある確率で事故を起こすことはいわば必然的であり、事故が起こる以上何らかの損害が生ずることもやむを得ないことでしょう。
 さて、自動車保険(任意自動車保険および自賠責保険)とは一口でいえば、自動車をめぐる一定の損害に対して所定の保険金を支払う保険ということになります。そこで自動車をめぐる損害にはどんなものが考えられるか、そしてそれに対して自動車保険がどのような補償を用意しているか筒単に要約してみましょう。

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 一般自動車保険は自動車保険普通保険約款によります。
 対人賠償責任保険は自動車の所有、使用、管理に起因して他人の生命または身体を害すること(対人事故)により、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害(賠償金の支払い)のうち後記の自賠責保険で支払われる額を超過する部分をてん補します。
 自損事故保険は自動車の保有者、運転者などが自賠法三条に基づく損害賠償請求権が発生しない事故(単独事故など)によって死亡または傷害を受けたとき保険金を支払います。
 搭乗者傷害保険は自動車の搭乗者が事故によって死亡または傷害を受けたとき保険金を支払います。
 対物賠償責任保険は自動車の所有、使用、管理に起因して他人の財物を滅失、破損または汚損すること(対物事故)により、法律上の損害賠償責任を負担することによる損害(賠償金の支払い)をてん補します。
 車両保険は衝突、接触、火災、盗難、台風などの偶然な事故によって自動車自体に生じた損害をてん補します。
 自家用自動車保険は自家用自動車保険普通保険約款によります。
 対人賠償責任保険は一般自動車保険の場合とほぼ同じですが、事故のときに保険会社による示談交渉などが行われるのが特徴です。
 自損事故保険は一般自動車保険の場合に同じ。
 無保険車傷害保険は自動車の搭乗者が無保険の相手自動車の加害事故によって死亡または重い後遺障害を受けたときに、相手方が負担すべき損害賠償額を支払います。
 搭乗者傷害保険、対物賠償責任保険、車両保険はいずれも一般自動車保険の場合と同じです。
 自動車運転者損害賠償責任保険(ドライバー保険)は自動車運転者損害賠償責任保険普通保険約款によります。自動車を所有していない運転免許証所持者が自家用の乗用車や乗員兼用車(ライトバン)などを借用する場合に付ける保険です。
 対人賠償責任保険、自損事故保険、搭乗者傷害保険、対物賠償責任保険これらはいずれも一般自動車保険の場合とほぼ同じです。
 自賠責保険は自動車損害賠償責任保険普通保険約款によります。自動車の運行によって他人の生命または身体を害したことにより、自賠法三条の損害賠償責任を負担することによる損害(賠償金の支払い)をてん補します。

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