刑事責任を軽減する対策

 Sは、自動車事故を起こし、しかも死亡事故をおこしてしまい、正式起訴をされ、近く刑事裁判が始まる予定です。損害賠償金の支払いと刑事裁判とで、Sの一家は正直なところ破滅しそうです。
 刑事裁判対策として、どのような方法をとったらよいか。どうしたら刑を軽くできるか、そのポイントを知りたく、N弁護士の事務所を訪れました。

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 死亡事故となると、正式裁判(正式起訴にかけられることはやむを得ません。もっとも、加害者側にほとんど過失がなければ賂式罰金ですむことになります(加害者がまったくの無過失なら罰金にもなりませんが)。しかし、通常は起訴されます。そして、もし、加害者に重過失(酒を飲んで運転していたとか、赤信号を無視したとか)があれば、裁判の結果は実刑(執行猶予がつかない)になります。
 Sの場合、加害者の過失がどの程度なのかよくわからないので、執行猶予がつくかどうかその点は明確には言えませんが、一般的には、つぎのとおりです。
 被害者と示談を成立させ、示談書を裁判所に提出すること。
 これは刑を軽くするためには不可欠の要件です。そして、できれば、一刻も早く示談書を作り、起訴になる前に検察官のところへこれを提出するのが効果的です。
 しかし、問題は示談書が作れないときです。この場合でも、加害者が金を支払わないために示談書ができないのなら、もはや、何をかいわんやということになります。
 加害者としても、どうしても賠償金を工面することができなかったときは、刑務所に入ります(実刑)も覚悟すべきです。
 そこで、つぎの問題は、加害者としては法律上、妥当な賠償金を用意したが被害害者がこれでは納得しなかったときなどうするか、です。このときには、加害者はその金を供託所に供託して、その供託書を裁判所に提出するということもできます。
 要するに、示談に努力したということを何らかのかたちにあらわすことが必要です。
 できれば、被害者の遺族に裁判所に出廷してもらい(証人として出廷すること)、そして、「加害者は誠意があったから、寛大な刑にしてくれ」と証言してもらうこと。
 これは、刑を軽くする上ではなかなか効力のあることですが、ただ、被害者側に証人として出廷してもらうことはかなりむずかしいことです。
 示談金のほかに、慈善団体等に贖罪のために寄附すること。
 これも、誠意を示すためにやるものです。
 しかし、これらの処置は、やはり、刑事裁判の弁護人に、よく相談してやるべきです。

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