物的損害を与えたときの損害賠償は
Z氏は誤って前車の運送会社のトラックに追突しました。追突の原因は運送会社のトラックが、路上に急に人が飛び出したため急停車し、後続のZ氏がブレーキをかけたが間に合わなかったもの。運送会社の運転手には幸い怪我はありませんでしたが、トラックの破損と積荷の損害が見積もられる。積荷はフランス製の研磨機一台で、その一部を破損させたものでした。Z氏は、A会社にどの程度の損害賠償をしなければならないでしょうか。
スポンサーリンク 交通事故によって人を死亡させたりケガをさせた場合の損害賠償については、自動車損害賠償保障法(自賠法)という法律が適用されて、被害者が加害者に損害賠償を請求するとき、加害者に故意または過失があるということを証拠できてる必要はなく、ただ交通事故でこんな損害を蒙ったということを証拠だてるだけで賠償を受けられます。
加害者が被害者からの賠償請求を免れるためには、自分または運転手が、なんにもわるくなかったこと、専ら第三者が悪かったために生じたこと、ならびに自分の車にはなんの欠陥個所もなかったこと等の事実を証拠だてる必要があります。しかしこの事実を立証することは、実際上非常にむずかしく、そのため、人身事故についての被害者は、損害賠償を、受け易くなっています。
これに対し物損事故については自賠法の適用がなく、賠償を受ける被害者が、加害者の故意、過失を証拠だてる必要が
あり、そのため人身事故に比較し少しむずかしくなります。また、人身事故については、強制保険から保険金が出るが、物損事故にはその適用がありません。
つぎに賠償額ですが、物を破損または滅失させたときは、修理可能の場合は修理費、修理ができない場合は、その物の時価相当額です。
運送会社の損害は、破損物件は修繕可能のようであるからトラックの修理代と機械の修理代が考えられる。その他、トラックを修理中、その期間トラックを使用できないため運賃収入などの営業収益を失ったとしたら、それも損害賠償の対象となります。通常、体車補償といっています。これは一日の純益に休車期間の日数を掛けた金額です。
もし、トラックも積荷の機械も修理できない程度に壊れていた場合は、トラックの損害は中古品の価格、機械は時価相当額です。時価は、購入価格、その後の使用年数、取引価格、新品の価格、物自体の現状を参考にして定められます。
自動車の中古品の評価には、定率法、定額法などの評価の方法がありますが、一般に定率法が用いられる場合が多いようです。しかし、いずれにしても、時価については、権威のある鑑定人を選定して評価してもらった方がよいでしょう。
商品の価格には、販売価格と卸売価格の二通りありますが賠償額は再調達費用と考えるべきであるから、卸売価格に、運賃、包装費などの諸経費をプラスしたものが損害賠償額になるでしょう。
自賠法とはどのような法律か/ 民法等による損害賠償責任/ 賠償責任を免れるのはどのような場合か/ 自家用車の事故に会社が責任を負う場合/ 臨時雇が起こした事故と会社の責任/ レンタカーによる事故と損害賠償の相手/ 過失の割合は損害賠償にどう影響するか/ 好意同乗者は損害賠償を請求できるか/ 事故による休業補償はどこまでか/ 入院費も払えないときはどうするか/ ダンプカーにはねられたときの賠償は/ 物的損害を与えたときの損害賠償は/ 強制保険は被害者から請求できないか/ 自動車事故で健康保険は使えないか/ 刑事責任を軽減する対策/
copyrght(c).道路と交通の豆知識.all rights reserved